また、あの人の
目が輝いている。
少しだけ、
自分に戻った話。
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正直に言うと、結婚してから
彼はずっと頑張ってきた。
文句も言わず、仕事をして、家にお金を入れて。
子どもの行事にも、ちゃんと顔を出す。
ただ、最近気づいたことがある。
彼の目が、あまり輝かなくなっていた。
若い頃、彼はバイクの話をすると止まらなかった。
どこを走ったとか、どのパーツがどうだとか。
正直、私は詳しくない。
でも、楽しそうなのは分かった。
いつからだろう。
「欲しいな」と言いかけて、
「いや、今はいいか」と引っ込めるようになったのは。
ある日、ガレージで一人、バイクを眺めている彼を見た。
触るでもなく、乗るでもなく、ただ、眺めているだけ。
少しだけ、胸が痛んだ。後日、彼が少し照れくさそうに言った。
「これ、レンタルなんだって」
月額レンタルで、6ヶ月後には自分の物になるらしい。
正直、最初は少し構えた。
またお金かかるんじゃないかそう思ったのも本音。
でも、話を聞くうちに、
不思議と嫌な感じはしなかった。
無理のない金額。大きな出費じゃない。
何より、彼が楽しそうだった。
最近、また彼の目が輝いている。
休日、ガレージにいる時間が増えた。
でも、不思議と家族に向ける表情も、柔らかい。
きっと、自分の時間が
少し戻っただけなんだと思う。
家族を大切にする人が、
自分の楽しみも大切にする。
これは、夫がわがままになった話じゃない。
“少しだけ、自分に戻った話”だ。